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「『メッセージ』、と仰ると?」 「はい。起動直後の私は、プログラムの規定を疑いもせず、まだ未完成ゆえに実行不可能と認識しました。 そして、ある程度経験をつんだ私は、それに疑問を抱きました」 なぜ、未完成の状態のものがプログラムされているのか。 なぜ、ほかのものと同じように完成された歌やダンスがプログラムされていないのか。 そもそも、このケースにおける『オリジナル』の定義はなんなのか。 すでにプログラムされた歌やダンスを、自ら編集すればいいのか。 あるいは自身のデータベースにないものを検索調査し、それを模倣すればいいのか。 あるいは、既存のあらゆるそれとは別の、完全な独創を開発せねばならないのか。 最後が該当するのであれば、武装神姫には困難を極めます。 我ら武装神姫は心を持つに至った機械。しかしあくまで機械としての属性が根強い以上、与えられたプログラムを実行する事には長けていても、自らがそれを生み出すことには不向きです。 そのあたりは素体やコアユニット、CSCの組み合わせからくる個性によって違いはありましょうが、どちらにせよそれが可能となるには、辛抱強く『心』の成長を待たねばなりません。 ましてやそれが見る者の主観に依存する、言い換えれば曖昧な評価基準しか持たない歌やダンスといった芸事であればなおさらです。 「そういったことを考えた末に、私はようやくのこと、一つの結論に達しました」 「お聞きしてよろしいですか?」 「はい。私の達した結論は、発想を転換することでたどり着きました。 即ち、『その芸を、どなたにお見せするのか』と考えたことで」 それは当然、人間の皆様と言うことになるでしょう。いえ、あえて断言するなら、自身のオーナーに他なりません。 自身の仕えるオーナーにお見せするのであれば、独りよがりな芸であってはなりません。 オーナーに気に入ってもらえる、喜んでもらえる、褒めてもらえる、そんな物でなくては意味がないのです。 そう考えると、このケースにおける『オリジナル』の定義もおぼろげながら見えてきます。 自身のデータベースになかったものならばよいのでなく、世界のどこにもない物ならばいいのでなく。 いえ、極論すれば、逆に既存のモーションをそのまま流用したものであっても構わないのでしょう。 それが、お見せする相手の好みに沿うものであるならば。 そう、このケースにおける『オリジナル』とは、『出荷時点ではまだ誰ともわからない、武装神姫を目覚めさせるオーナー自身の、今はまだ知り得ない好み』を示すのではないでしょうか。 そしてオーナーの下で目覚めたのであれば、その好みを学習し、体現せよ、と。 「つまり、この芸に秘められたメッセージとは、 『自身のオーナーを知れ』、 『自身のオーナーが何を求めるかを知れ』、 『その求めに応じられる存在たれ』。 残念ながら、今の私の成長は、それが可能と自己判断できうる域まで達しておりません。 ……ですが」 私は自身の決意を込めて、まっすぐにマスターさんを見詰めて言葉を続けます。 「ですがいつか、その域にまで達したいと考えております。 マスターさんの嗜好を理解し、その嗜好を体現しうる歌とダンスを身につけ、それをマスターさんにお見せし、喜んでいただきたいと願っております」 一息つき。 「……即ち、それこそが答えなのではないでしょうか? つまり、 『そのオーナーの、よりよい武装神姫であらんと弛まぬ努力をせよ』、 と――」 「……なるほど」 マスターさんがまた一口、お茶を飲まれました。そして、何かを思案するように、天井を見つめます。 会話が途切れますが、私自身としてはこういった沈黙も嫌いではなくて。 私は特に口を挟むこともなく、マスターさんのお言葉を待ちます。 「……僕の考えを、お話ししてよろしいでしょうか?」 ややあって、マスターさんが視線を戻しそう仰いました。 「拝聴させていただきます」 もちろん、私に異存があろうはずがありません。 マスターさんは一呼吸置くように再び湯飲みを口元に運び、途中で何かに気付いて、それを卓袱台の上に置かれました。 私はその湯飲みに、急須を抱えてお代わりを注ぎます。 「ありがとうございます」 深々。 「どういたしまして」 深々。 「それで、今の犬子さんのお話を聞いて思った、あくまで僕個人の考えなのですが……」 新たにお茶の注がれた湯飲みを口に運ぶでなく、両手で包み込むように持ちながら、マスターさんは再び天井を見つめつつ一言一言を確かめる様にお話くださいました。 「僕はその芸に、『開発者の方の祈り』を感じました」 「祈り、ですか」 「はい」 そして、お茶を一口。 「犬子さんの考える『メッセージ』、その意味もまた、あるのだと思います。 ですが、単に向上心を持つように促すのなら、なぜハウリン芸の中に用意したのでしょうか? 武装神姫の一般的な使われ方であるバトルや、僕が主に活用している生活サポートの方にその旨があれば、それで十分ともいえるのではないでしょうか? ――武装神姫を、単に『良き道具』として見たのであれば」 「そうでは……ないと?」 マスターさんは、一つ頷かれました。 「そもそもが、ハウリン芸の存在です。『良き道具』としてあるだけならば、不要な機能とも言えます。 それをわざわざ残したのは、なぜでしょうか? 僕はそこに、『祈り』を感じました。 『この芸で、オーナーに楽しんでもらえるといいね』、 『そうして、オーナーにもっともっと気に入ってもらえるといいね』、 『オーナーに、もっと喜んでもらえることもできるようになるといいね』、 『そんな風に頑張れるくらいに、オーナーのことを好きになれるといいね』、 『そのオーナーのために、取って置きを用意できるといいね』」 そこで、一度言葉を切り。 「――『そんな風に大好きになれる、オーナーのところに行けるといいね』、と……。 さながら、愛娘を嫁がせる両親のような気持ちだったのではないのでしょうか?」 ――言葉がありません。 私の未熟な『心』は、今感情回路を駆け巡るパルスの表現の仕方を知らないのです。 それでも、今は沈黙を守るべきではありません。 未熟な私の『心』が、未熟なりに『何かを答えるべきだ』と判断しています。 マスターさんは、それきりお口を閉ざされています。 そんな沈黙の中、ゆっくり、ゆっくりとマスターさんのお言葉を咀嚼し……私はようやく、一つの言葉を紡ぎ出します。 「私は――」 胸に――私の『心』が宿るCSCを装填された胸部ユニットに手を当てながら、私はその言葉を口にしました。 「私は、愛されているのですね」 マスターさん何も言わず、ただはにかんだように優しい笑顔で頷かれています。 私も笑顔を浮かべ……いえ、訂正します、知らないうちに浮かんでいた笑顔を改めてマスターさんに向けなおします。 そして満ちる、心地よい沈黙。 ……正直なところ、いかにマスターさんのお言葉を鵜呑みしやすい私とて、今のマスターさんのお考えはいささか楽観が過ぎると考えます。『開発』『企業』『商業』といったキーワードが絡む世界は、もっとシビアであってしかるべきでしょう。マスターさんのお言葉を信じたい私もいますが、それを冷静に否定する私もまた存在するのです。 であるからして、マスターさんの今の推論から汲み取れる確たる事実は、僅かに二つのみ。 マスターさんが、そのようなお優しい考え方をするお方であるということと、 私は、そんなマスターさんにお仕えすることが出来てとても幸せだということです。 ややあってマスターさんが、照れくさそうに頬をかきつつ、口を開きました。 「さて、かく言う僕自身は、犬子さんにとってよいオーナーなのでしょうかね?」 おそらく、ご自身の台詞が恥ずかしくなったのでしょう。 あからさまな照れ隠しにそんなことを言い出すマスターさんに、私はいたずらっぽく笑ってちょっとイジワルをしてみることにします。 「マスターさん、そのような質問のことを、何と言うかご存知ですか?」 「はい? ええと、『他人に評価を求める』……それとも、『信頼関係の確認』といったあたりでしょうか?」 戸惑うマスターさんに、私は笑顔のままで首を横に振ります。 「残念さまでした。正解は……」 そして、「してやったり」の笑みを浮かべて。 「『野暮』、でございます」 一瞬、あっけに取られたような表情になったマスターさんでしたが、すぐに小さく吹き出します。 「これはこれは……犬子さんに一本取られてしまいましたね」 「はい、ご油断なさりませぬよう。隙をお見せされたなら、容赦なく攻め立てますので」 「あははは、怖いですねぇ。では、今の質問は取り消して、改めて聞きなおします。 ――いつか、犬子さん会心の『オリジナルダンス』を、見せてくださいね?」 「はい、ご期待ください!」 私たちの間に、暖かい空気が満ち溢れます。 ……マスターさんが、ごく軽く次のお言葉を口にされるまでは。 「そういえば犬子さん、公開できないもう一つの方の芸は、どのようなものなのですか?」 すかさず私は表情をロック。笑顔を保ったまま、その裏で戦慄します。 とうとう、聞かれてしまいましたか……武装神姫たるもの、人間に対して嘘はつけません。そして聞かれたことに対して、ごまかすのも容易ではありません。 いえ、これでも文脈に留意して、マスターさんの興味が『オリジナルダンス』の方へ向くよう誘導したつもりだったのでしたが……思いのほか話題が重くなりすぎて、その気分転換のためにそちらの話題を使われてしまったようです。 その話題は、マスターさん向けの話題でないことを明かして、お耳に入れないようにした方がよいかとも考えましたが、それもかえって負の想像力に働きかけてしまう可能性もあります。 「……犬子さん?」 いけません、表面上とはいえフリーズ状態で長くいすぎたようです。マスターさんに不審に思われてしまったご様子。 ここは観念いたしましょう。 私は表情ロックを解除、表面上はにこやかに答えます。 「はい、そちらは『ア○レちゃんごっこ』と銘打たれております」 「『ア○レちゃん』、というと……鳥○明のですか?」 「鳥○明のです」 さすがは日本が世界に誇るコミックアーティスト、主に活躍したのは前世紀でも、その打ち立てた金字塔の知名度は衰えません。 「それで、この『ア○レちゃんごっこ』はですね」 ここで私は、両手を頭の脇に添えまして。 「こう、頭部パーツを引っこ抜きます」 言いながら、両手を上に差し上げます。 ……いえ手だけですよ? あくまでジェスチャーですよ? 頭部パーツは、変わらずに素体本体と接続されたままです。 あー、予想通りといいますか、マスターさん絶句されています。ですからあまり言いたくはなかったのですが。 「あの……そんなことをして、大丈夫なのですか?」 心配そうに尋ねられるマスターさんに、私は意図的に淡々と解説を続けます。 「再起動が可能か、後遺症が残らないか、と言う意味では大丈夫です。 その状態で自律行動が可能か、と言う意味では大丈夫ではありません」 それはもう、頭部ユニットは本体バッテリーから、素体本体は中枢指令ユニットから切り離されるわけですから、どちらも機能停止に陥る他ないわけです。 「それで……そのあとは、どうするのでしょうか?」 「はい、その後は制御を失った腕関節が、頭部ユニット及び自重でヘタって徐々に下がってきます。 それがうまく元の位置に戻れば、再接続が可能となります。 むしろ正確に申しますと、最初からそれを計算して頭部ユニットの接続を切り離し、見事計算どおりに復帰まで成し遂げると成功となって見ている皆様からやんややんやの拍手喝采をいただける、そんな芸でございます」 「……つかぬ事をお伺いしますが……もし、それに失敗した場合は……?」 「当然、自力での復帰は不可能ですので、どなたかに再接続をしていただく必要があります」 ですからハウリン芸でも難易度ナンバー2、危険度ならばアドリブダンスをも遥かに上回る芸と位置づけられているわけです。 「………………………………」 「………………………………」 あまり心地よくない沈黙が満ち溢れます。 おそらく、今マスターさんと私とが考えていることは同じかと推測されます。 『いくらマスターさんでも、外れた頭部ユニットを差し込むくらいなら……』という考えが、いかに希望的観測に基づいているか……いえ、あえて言うなればいかに現実に即していないかは、今までの生活経験の中でわりと保護優先度の高いメモリー領域に刻み込まれているのです。 「犬子さん……その『ア○レちゃんごっこ』も、封印指定と言うことでよろしくお願いします」 「承知しました。他にも、すでに封印指定されている『ゾンビ・ハンド』を除き、4つの接続切り離し系統の芸がございますが、それも同様に封印指定と言うことでよろしいでしょうか?」 「そのようにお願いします」 「はい、ではそのように」 「………………………………」 「………………………………」 再び、少々居心地がよろしくない沈黙が場を満たします。 「ところで犬子さん」 「何でしょうかマスターさん」 「ふと思ったのですが……ハウリン芸というのは、もしかして基本的に素面でない方にお見せするものだったりしませんか?」 「ご明察です。なにしろ『宴会芸』とカテゴライズされている代物ですから」 基本的に、アルコールを嗜まれて程よく理性のタガが緩んだ方々に、少々下品な言い方をすれば「指差してゲタゲタ笑って」いただくための芸です。 「………………………………」 「………………………………」 「なんとなく、なのですが……先ほどの僕たちの『メッセージ』とか『祈り』とかの話し合いが、わりと根底から根こそぎ台無しになったような気がするのですが、気のせいでしょうか?」 「お気になさらぬがよろしいかと」 「そうですか」 「そうです」 「………………………………」 「………………………………」 「あ、9時になりましたね」 「おっと、チャンネルを変えませんと。ありがとうございます」 深々。 「どういたしまして」 深々。 こんな風にして、私とマスターさんのどうにもならない夜もまた、容赦なく更けていくのです。 <その11> <その13> <目次>
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3ページ目『フィギュアじゃない』 「ごめんなさい。私はちゃんと玄関からお邪魔しなきゃ、って言ったんですが、この疫病猫が」 「仲間を売って自分だけ助かろうとするとはオマエ、それでもキャッツアイの一員かにゃ。やれやれ、3rd素体の神姫は、猫を敬うこともできないシケた連中ばっかりにゃ」 「貴様がキャツアイを脱退すればいいだけのことだ。難しいことはない」 「にゃんという暴言! 聞きましたかヤンデレお嬢さん。最近さーほむほむがワガハイに冷たいんにゃよー」 「ヤンデレって私のこと? ねえ私のことなの? って、そんなことより――」 時折、弧域と鉄子の話し声が聞こえてくる孤独な部屋は、三人の闖入者の登場により急に騒々しくなった。 引っ越してきて三年目になるこの部屋は未だ、弧域ですら侵入を許されたことのない姫乃の聖域である。人当たり良く素直で通っている彼女(例外あり)でも、部屋の至る所に隠してある有害図書や器具などの秘蔵物の発覚を恐れたりと、他人に踏み込ませない領域というものは人並みにあるのだ。 しかし姫乃は闖入者の姿を見て興奮するあまり、秘蔵物のことなどすっかり忘れ、闖入者達を抵抗なく迎え入れてしまった。自分は机に着いて、三人を机の上に上げてじっくり観察しようと、目を皿にした。 「あなた達って武装神姫、よね? どうして動いてるの? もしかして昔作ったフルラドスの魔法陣で召喚された使者じゃないの? あれは自分でも傑作だって思ってたくらいだもの、他に考えられないわ! そうなんでしょ!」 窓を閉め、弧域とおそろいの電気ストーブのスイッチを入れても、一度冷やされた部屋はそう簡単に暖まるものではない。しかし姫乃は、自分の手がかじかみ動かないことすら、もう眼中に無かった。 恐怖心が綺麗サッパリ霧散した後も、心臓はまだバクバクと鳴りっぱなしで、姫乃は無意識に胸を押さえていた。机の上に立ち、人間のように動き、言葉を自在に話す人形に心をときめかせずにはいられなかった。 主に中学生時代に夢見て、今目の前にいる【異界からの使者】。数年が経過した今であっても、それは姫乃の好奇心をこれ以上無いくらいくすぐった。 「ワガハイ達神姫は立派な科学の結晶にゃ。魔法陣にゃんて痛々しいモノにお呼ばれされた覚えはにゃい」 「うんうん! そうよね、簡単に秘密をしゃべるわけにはいかないものね。大丈夫よ、私はその辺りはちゃんと心得てるつもりだもん」 猫型の武装神姫、マオチャオにキッパリと否定されても、姫乃は肩を落とすどころか、むしろ謎が深まったことを喜びさえしてしまう。まったく未知の3体に触れようとする手を抑えるのにも、早くも限界が訪れそうだった。興奮しすぎてみっともなく鼻息を荒くしていることにさえ気付けないでいる。 ただし。語尾を「にゃ」に変えて話すマオチャオはカタログで見られるようなごく普通の武装神姫だが、姫乃は頭の隅で冷静に (実物は随分とバカっぽいのねえ) という第一印象を受けてもいた。 「レーダーを扱えるのが貴様だけ、というのが問題だな。おかげで俺は貴様に振り回されざるを得ない。しかし使い方を覚えるのも面倒だな……」 ほむほむと呼ばれた神姫も同じくマオチャオだが、言葉遣いだけでなく見た目も「にゃ」のマオチャオとは異なっていた。額に白く無骨なシールドを被り、大きな目の上半分までを隠すように覆うことで目付きが悪く見えてしまっている。胴体も、戦車の装甲のような装備で覆われ、さらに背面には巨大なハンマーがたすき掛けされており、このマオチャオの戦闘への意気込みが見て取れる。しかし脚部だけは何故か、スポーツカーを思わせる真紅の端麗な装備が使用されていて、無骨な上半身に流麗な下半身と、全体的なバランスは大きく損なわれている。 「あの空間に少人数で飛び込むのだけは避けたいですし、カグラの暴走はレーダーとデコイを得る代償と考えるしかなさそうです」 もう一体、部屋に入って最初に姫乃に侘びを入れた神姫はマオチャオではなかった。弧域が飾っているそれと同じ金髪蒼眼の戦乙女型、アルトレーネである。物々しくも洗練された全体的なシルエットを、白と青のコントラストがさらに凛々しく引き立てる豪奢な武装。バイザーを上げたヘルメットが何よりも戦乙女らしさを醸し出しているが、そのヘルメットの頭頂の隙間から何故か、ピョコンと三角形の耳が覗いていて、すべてを台無しにしてしまっている。 三者三様の人形。小さくて可愛らしい、と言うには着飾っているものが少々物々しいが、武器や防具といった日常とはかけ離れた物が、姫乃の妄想をいっそうかき立たせた。 (すごい、すごい、すごいっ!) 見覚えのあるマオチャオもアルトレーネも、実際にそれらが動いているとなれば、姫乃の目にはとにかく素晴らしいものに見えた。なにせ【召喚した妖精や悪魔の類が武装神姫の体を借りて動いている】らしいのだから、召喚の触媒になり得る武装神姫に、興味を持たない理由はない。黒歴史を葬るために切り刻み灰と帰したノートですら (私のバカ、なんで捨てちゃったのよ) と今更になって惜しむ始末である。 「ねえ、少しでいいから、触っていい?」 「ううん、やっぱりマスターと同じように、本当に神姫のことを忘れてしまってるみたいですね」 「目覚めた神姫に触れれば記憶が戻るかもな――よし、心ゆくまで触っていいぞ」 「待つにゃほむほむ。こういう時は普通、自分の体を差し出すものじゃにゃいか。何の躊躇も無くワガハイを差し出そうとするとはアレかにゃ、ワガハイの体は俺の物っていうジャイアニズムに目覚めたのかにゃ」 「あなた達、ジャイアンのこと知ってるの!? そ、それってもしかして、アカシックレコードから引用して、たり?」 「なんだか私、この方に上手く説明できる自身がないんですけど……」 アルトレーネの「説明」という言葉を聞いた姫乃は、椅子の上でサッと姿勢を正して身構えた。異界からの来訪者は、まず召喚者に事情を説明する暗黙のルールがあり、召喚者はそれを聞かなければならない――という【設定】を、忠実に守るためである。彼女の心はもう立派な召喚士のそれへと変貌していた。 「なんでも話して。私、あなた達がどんなに不思議なことを話しても絶対に否定しないから」 「既に変な方向に誤解されてるみたいですが……分かりました。私達も状況をすべて知ってるわけではないので、あまり鵜呑みにしないで下さいね」 コホン、とひとつ咳払いしたアルトレーネはスカート状のアーマーを折りたたんで、その場に姿勢良く座った。ハンマーを持ったマオチャオも、その隣に片膝を立てて腰を下ろした。もう一匹、「にゃ」のマオチャオは姫乃に指で喉を撫でられ、ゴロゴロと喉を鳴らして一人悦に浸っている。 「まずは自己紹介としましょう。私はアマティといいます。こっちのクールなマオチャオがほむほむで――」 「俺の名はホムラだ」 「その馬鹿っぽいのがカグラです」 「馬鹿とはにゃんにゃふにゃあああん♡ そ、そこはだめにゃああぁああ♡」 姫乃の十指による技巧にされるがままのカグラは、最後のプライドを振り絞って拒絶の言葉を吐き出すも、表情も体も既にとろけきっていた。 カグラを弄びつつも、姫乃は一言一句聞き漏らすまいと真面目に耳を傾ける。 「これはこれはご丁寧に。私は一ノ傘姫乃っていいます」 「初めまして一ノ傘さん、と言いたいところですが、実は私達――」 「やあねえ、姫乃って呼んでよ。私達の仲じゃない」 「仲? ……いえ、確かに『実は私達、お会いしたことがあるんです』って言おうとしましたけど、せいぜい顔を合わせたことがあるってくらいで、そこまで親しいわけじゃないです」 「【猫戦乙女の憂鬱】の最終話で会ってるにゃ」 「貴様は黙ってろ」 「そうなの……残念」 「兎に角、まずこれだけは認識して下さい」 力を込めたからか、アマティのヘルメットからのぞく三角の耳がピンと尖るように立った。その耳に手を伸ばしたいけれど話の邪魔をするわけにはいかないと、一人葛藤する姫乃だった。 「私達神姫は、姫乃さんと同じように心を持ってます。妖精だか何だかが取り付いたフィギュアなんかじゃなくて、CSCとこの頭、コアによって見たり聞いたり感じたり考えたりできるMMSなんです」 ■キャラ紹介(3) カグラ 【 2/2 】 彼が幽鬼のような表情で帰ってきた理由を、留守番をしていた次女達はすぐに知ることとなった。彼が鞄から机の上に出したモノ、それは変わり果てた長女だった。 彼が帰ってくるまで騒々しくケンカをしていた次女達が絶句する中、彼はパソコンを起動し、メンテナンス用アプリケーションを立ち上げた。そして淡々と、収集した画像を整理するような無感動さで、次女達のオーナー登録を次々と抹消していった。混乱の極地にある次女達にはもう、彼のやっていることが理解できなかった。 呆然と立ち竦む次女を荒々しく掴んだ彼は、無造作に胸のカバーを開き、CSCを抜き取った。心を失った次女は、内部に精密機器が詰まっているだけの人形となった。だから、自身がゴミ箱へ放り投げられたとしても、反応することはない。 「ひ……」 机の上に散らばっていた【長女だったモノ】も片付けた彼の手が、三女に伸びた。 「ひゃあああああああああっ!?」 三女が駆け出すより速く、彼の手が伸びた。乱暴に掴まれた三女はありったけの力で暴れ、彼の手に噛み付いた。小さいとはいえ戦闘できるよう作られた神姫の力は強く、肉を噛み千切り、力尽くで手の中から逃れることができた。三女の身体が床へ自由落下する。しかし、その床へ到達するまでの時間は、三女にとってあまりに長すぎた。着地の瞬間、床と彼の足裏の間で押し潰された三女からはもう、CSCを抜き取る必要もなくなっていた。 足裏に鋭い痛みが走ることで、僅かに我を取り戻した彼は、荒い息を吐きながら部屋の中を見回した。 四女と五女は姿を消していた。 次ページ『アマティ、キレる』 15cm程度の死闘トップへ
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ぱらりと、紙をめくる音が響く。 学校の帰りにコンビニで買ってきたマンガ雑誌だ。 今読んでるのは、良くあるバトルもの。どのくらい良くあるかと聞かれれば、お爺ちゃんの家で読んだ三十年前のバトルまんがと大筋が変わらないくらい、よくある話だ。 お爺ちゃんや父さんに言わせれば、「連綿と受け継がれた様式美の極み」なんだそうだけど。 ちょっと話が逸れた。 今見ているのは、見開きで描かれた、敵の新必殺技が炸裂するシーンだ。 さらりと見て、ぱらりとめくる。 「あ、まだそのページ読んでない」 「ごめん、ジル」 傍らから聞こえてきた声に、ページを戻す。 どうやら彼女は、見開きの大きなコマを読むのが余り得意じゃないらしい。 「うし、いいよ」 めくった次のページは、戦いを見守る仲間達が敵の必殺技の詳細を解説するシーンだった。 「なー。まだ読み終わらないの?」 小さなコマは読みやすいのか流しているのか、読むのが異様に早い。 「はいはい……」 必殺技の種明かしは後で読み直したときの楽しみにするとして、次のページへ。 「そうだ、十貴」 次回に続くで雑誌を閉じれば、机の上でマンガを覗き込んでいた『彼女』が口を開いた。 「何? やっぱり肩に乗って読む方が良い?」 身長十五センチのジルにとって、机の上に広げられたマンガを読むのは結構な大仕事らしい。考えたら、机の上に広げたマンガ雑誌を、同じ机の上に顎を乗せて読んでいるようなものだ。 一度同じやり方で雑誌を読んでみたら、五分くらいで力尽きたことがある。 「や。それは慣れたからいいんだけどさ」 じゃ、何だろう。 「この一週間すっかり忘れてたけど、あたしの武装は?」 武装って……? 「……十貴」 ジルの声が、一オクターブ下がった。 あ、これ、怒ってるときの声だ。 「な、何?」 「あたしの商品名は、何だ?」 えっと確か、武装神…… 「……あ」 「今まであたしがバトルフィギュアだって忘れてたろっ!」 次の瞬間、ボクの額にはジルの右足が叩き込まれていた。 っていうかそれ、ほのぼのとバトルまんが読んでる奴に言われたくないよっ! 魔女っ子神姫 マジカル☆アーンヴァル ~ドキドキハウリン外伝~ その2 「いや、バトルフィギュアだってのは覚えてたんだけど……」 押さえた額には、ご丁寧に十分の一スケールの足跡が刻み込まれている。 「何だ」 対するジルは既に机に着地した後。ものすごく偉そうに腕を組んで、こちらを見上げている。 見上げてるのに、見下ろされてる気になるのはどうしてだろう。 「何というか、父さんの超合金とか気に入ってたし、専用武装出す必要ないなぁとふみゃっ!」 また蹴りが来た。 「ばかやろう! ありゃ趣味だ!」 金色のハンマーを抱えてみたり、ミサイルランチャーを腕に付けてニヤニヤしてたのって、趣味だったんだ。 「それに専用装備じゃないと公式バトルに出られないだろうがっ!」 これだけ凶暴なのに、武装なんか加わった日には……どうなるんだろう、ボク。『中立地帯』の張り紙も三日くらいで効果なくなっちゃったし、なんかボクの体が本気で保たない気がしないでもない。 「ていうか、バトルに出る気あったんだ……」 「当たり前だろ! 神姫ってのはそういうもんだ!」 こんな血の気の多いロボット娘達が、武装までしてド突き合うの? 嫌だ。それ本気で嫌だ。 しかもそれにボクが巻き込まれるとか、洒落になってない。 あ、でも……。 「っていうか、まだ神姫って正式発売されてないから、公式バトルもへったくれもないんじゃ……」 「あ……」 ジルの動きが一瞬止まり。 「そう言うことは先に言えっ!」 次に来たのは、やっぱり容赦のない蹴りだった。 一週間ぶりに取り出された神姫の箱の中には、様々な武装がひとセット納められていた。まだテストショット段階だったのか、塗装の済んでいない装備もちらほらと入っている。 「……ふむ」 二の腕のジョイントに凶悪そうなデザインの片手剣を取り付けながら、ジルは満足そうな笑みを浮かべた。 「ロケットパンチもいいけど、やっぱりこれがしっくり来るな」 そんなことを呟きながら、今度は手首のジョイント機構を解放する。解放信号を受けた形状記憶合金製のリングが平らな板状に展開し、接続待機状態へ。 そこに装備を近付ければ、展開していた金属板が装備にしゅるりと絡み付き、基部に備えられたハードポイントに武装をしっかりと接続・固定する。 「初めて見たけど……。すごいね、そのジョイント」 外観のイメージとしては腕時計に近い。 腕時計のベルトの部分が武装固定部品となる展開式の金属板で、文字盤の部分がパワー供給部を兼ねたハードポイントだと思ってもらえばいいだろう。 この機構のおかげで、神姫は装備の接続部分の形状を気にすることなく、自由自在な装備を行うことが出来るのだという。 「だろ。便利だぜ?」 慣れれば、手が塞がっていてもその辺のものをつまんだり、ドアノブをひねったり出来るらしい。 「そうなんだ……」 両足をオプション武装に付け替え、背中には大型腕を装備。 身長は二割増といったところか。四本腕と、翼にも見える曲がりくねった刃を備えた異形のシルエットこそが、ストラーフの完全武装モードらしい。 その姿は、悪魔というよりまさに怪物といった……。 「ンだよ、十貴」 うわバレたっ! 「いや、別に……」 マズい。 この姿のジルに蹴られたら、ホントに死んじゃうよ。足の甲にもなんか刃物みたいのがあるし、そもそも脚力は十倍くらいになってそうだし、回し蹴りとか来たらとか、考えただけでも恐ろしい。 「その目はあれだろ! なるほど悪魔だなとか、そういう事考えた目だろ!」 「ち、ちがうよぅ」 もっとヒドいこと考えてたなんて……。 「まあいいや。これでマンガも読み放題だし、十貴の隠してるエロ本も探し放題っと」 ……え? そりゃまあ、その腕ならマンガのページだってめくれるだろうけどっていうか、エロ本って何! 「そもそもジル、その武装で公式バトルに出るのが目的じゃなかったの?」 「公式バトルはまだ始まってねえぜ?」 ニヤニヤと笑うジルの目は、「さっきお前が言ったばっかだろ?」と意地悪く囁いている。 「それに、お前の父さんのレビューが終わったら、あたしはメーカーに戻されるだろうしな」 あ……。 そう、か。 ジルは父さんが借りてきた、レビュー用の神姫なんだっけ。 「ま、短い付き合いになるだろうけど、よろしく頼むわ。マスター」 どこか寂しそうに微笑みながら、ジルは背中から伸びた大型腕をこちらにすいと向けてくる。 「うん……」 ジルの手は小さくて、指先でしか握手できなかったけど、大型腕はしっかりと握り返すことが出来た。 「だから返される前に、青春の秘密が置いてある場所だけ教えてな」 いや、そもそもそんなもの持ってないから! 向かい合ってレトルトのカレーを食べながら、父さんがぽつりと口を開いた。 「なあ十貴」 「レトルトなら別に気にしないでいいよ」 父さんが食事当番の日はいつもこうだ。仕事も忙しいみたいだし、二人の食卓にももう慣れた。 普通に離婚しただけだから、母さんとはいつでも会えるしね。 「それは分かってるから良いんだが……ジル、どんな感じだ?」 ああ、そっちか。 「父さんはあれいい感じだと思うんだけどな。ネットの前評判は今までの自律式アクションフィギュアの二番煎じだとか何とか言われてるけど、今回はちょっと違う気がするんだよなー」 AI搭載型の自律式小型ロボットは、何も武装神姫が初めてじゃない。 特にロボット技術の小型化が飛躍的に進んだここ十年は、様々な自律式アクションフィギュアが世の中を席巻してきた。 「GFFとかSRWのこと?」 生誕五十周年企画として発売された超小型ロボットを使った対戦ゲームに始まり、自作武器の規定まで盛り込んだ無差別ジャンルのロボット戦に、ヒーローフィギュアを使った多人数戦、果てはぬいぐるみにAIや駆動機構を組み込んで対戦させるといった良く分からないものまで、数限りない企画が生まれ、消えていった。 「あの辺も面白くはあったけどなー。何だかんだ言ってバトル特化だっただろ?」 「まあ、そうだね」 何度か父さんがレビューで借りてきたロボットで遊んだことがあるけど、長続きした覚えがない。わざわざ買ってまで遊ぼうと思ったものに至っては皆無といって良かった。 せいぜい、害虫駆除用に使えるってことで、ホイホイさんとコンバットさんを買ってきた程度だ。 「今回はバトルとコミュニケーションの両方を攻めるコンセプトで作ってあるみたいだし、ハマれば流行るんじゃないかなぁ?」 だから、武装神姫はこの手のジャンルとしては最後発。ひいき目な見方をすれば、今までのジャンルを全て取り込めるポジションにあるとも言える。 「本音は?」 「父さんのコレクションを分かってくれたAIロボットなんて初めてだ」 「やっぱりそっちなんだ……」 前に借りてきたバニング大尉仕様のジムカスタムは、父さんが愛して止まないドリルを全否定してたしね。随分と渋い声で喋るジムカスタムだったけど、性格のベースになったキャラに何か嫌な思い出でもあったんだろうか? 「ん? 十貴はジルと合わないか?」 「そういうわけじゃないけど……」 ジルは言葉遣いは荒いし、すぐ手が出るし、セクハラネタばっかり振ってくるし……。 ……でも。 ……。 ……でも。 ……。 「……ごちそうさま」 何となく食欲が無くなったボクは、そのまま席を立った。 「十貴。ちゃんと食べないと大きくなれないぞ?」 「いいよ別に」 本当は全然良くないけど、そこで戻るのも癪だったので一息に部屋を後にする。 「……反抗期かねぇ」 残された男は、静かにため息を吐いた。 「ジルとは長い付き合いになるんだから、もうちょっと仲良くして欲しいもんだが……」 食事の間は控えていたタバコに火を点け、胸の奥まで吸い込んでやる。禁煙運動華やかりし二十世紀末に生まれた彼だが、今となっては当時の教えを快調に逆行する、重度のヘビースモーカーだ。 ラベルの八割を占めるようになった注意書きをぼんやりと眺めながら、煙混じりの息を長く吐く。 「武装神姫の長期レビューは前途多難、か」 レビュー期間は一年半。公式大会への参加が条件で、レビュー期間が終わった後の神姫はこちらで引き取っていい事になっていた。 その条件を息子にまるまる伝え忘れていることに気付くのは、それからさらに一週間ほど経ってからの事となる。 戻る/トップ/続く
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テスト画像 -- (Clavis) 2010-12-04 13 01 01
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≪ねここの飼い方・劇場版≫ ねここの飼い方・劇場版 ~序章&一章~ ねここの飼い方・劇場版 ~二章~ ねここの飼い方・劇場版 ~三章~ ねここの飼い方・劇場版 ~四章~ ねここの飼い方・劇場版 ~五章~ ねここの飼い方・劇場版 ~六章~ ねここの飼い方・劇場版 ~七章~ ねここの飼い方・劇場版 ~八章~ ねここの飼い方・劇場版 ~九章~ ねここの飼い方・劇場版 ~十章~ ねここの飼い方・劇場版 ~十一章・終焉~ ○劇場版は以下の作家さんとリンクしております 岡島士郎と愉快な神姫達 神姫狩人 HOBBY LIFE,HOBBY SHOP 武装神姫のリン 凪さん家の十兵衛さん 魔女っ子神姫☆ドキドキハウリン 師匠と弟子 トップページへ戻る
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≪ねここの飼い方OVA・光と影≫ ねここの飼い方・光と影 ~序章~ ねここの飼い方・光と影 ~一章~ ねここの飼い方・光と影 ~ニ章~ ねここの飼い方・光と影 ~三章~(18禁 ねここの飼い方・光と影 ~四章~ ねここの飼い方・光と影 ~五章~ ねここの飼い方・光と影 ~六章~ 改訂版 ねここの飼い方・光と影 ~七章~ ねここの飼い方・光と影 ~八章~ ねここの飼い方・光と影 ~九章~ ねここの飼い方・光と影 ~十章~ ねここの飼い方・光と影 ~エピローグ~ ねここの飼い方・光と影 ~おまけ~ ○『光と影』は以下の作家さんとリンクしております 凪さん家シリーズ 魔女っ子神姫☆ドキドキハウリン 僕とティキ? HOBBY LIFE,HOBBY SHOP 武装神姫のリン トップページへ戻る
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武装神姫のリン 第1話「リン」 今日は久々の休みだった。ということで某家電量販店へ出掛た。 目当ては今話題の「武装神姫」。 最初は購入を考えていなかったが、ネットでの評判や友人に勧められたこともあったので購入することにした。 結構な人ごみの中、なんとか最後の1箱を入手して帰宅した。 購入したのは「TYPE DEVIL STRARF」一番気に入っていたモデルだった。 早速起動させてみる。 瞳をゆっくりと開くと彼女は俺に挨拶をした。 「おはようございます。」 どうやら正常に起動したようだ。 マニュアルを片手に初期設定(とは言っても彼女に名前を与えるだけなのだが)を開始する。 「まず最初に私の個体識別のための呼び名をいただけますか?」 名前については購入前から決めていた。 「リン・・・リンですね。認識しました。」 それから彼女は部屋の中を走り回っては目に付くものがあると俺に質問してきた。 なんだか、歳の離れたいとこが家にやってきたような感覚を覚えた。 しかしリンばかりに気をとられているわけにはいかない。 リンの寝床の確保がまだだった。 おれは昔貰ったキャラクター物のタオルハンカチ2枚と100均で買ったバスケットを使って寝床を作る。 早速リンを呼んで寝かせてみると気に入ってくれたらしい。 そして少し頬を赤くさせたか?と思うと質問してきた。 「マスター、このキャラクターの名前は?」 これは少し予想外だったがちゃんと答えてあげる。 「…ピ○チュー。かわいい名前ですね。 マスター、こんなにいいものをありがとうございます。」 リンはそのピ○チューの描かれたタオルハンカチをうれしそうに抱きしめ、にこやかに微笑んでお礼を言ってくれた。 自分でも少し恥ずかしかったが「どういたしまして。」と返事をする。 その後、リンはじっとタオルハンカチを見つめていた。 俺が夕食を作っていると、リンがなにやらし始めた。 のぞいて見るとリンは鉛筆(ロケット鉛筆のヘッドの部分を与えてあった。) とメモ用紙を使って何か描き始めた。 だんだんと輪郭がはっきりしてきた。ジグザグのなにかと丸っこいからだ・・・・・ まあジグザグの何かの時点でだいたい検討はついていたのだが。 そうしてリンが描いたのは紛れも無い、ピ○チューだった。 「絵が上手いんだな」と声をかけるとリンはあわてて身体で自分の描いたピ○チューの絵を隠して、 「見ないでください・・・」と恥ずかしげに返事をした。 もちろんそのリンの顔が忘れられないほど可愛かったのは言うまでも無い。 その後もリンはお絵かきを続けていたが、俺が風呂に入っている間に寝てしまった様だ。 寝顔は穏やかでこれが人工のモノだとは思えない。 ふと表情が変化する。とても幸せそうな笑顔だった。 そのとき、俺はリンを大切にしようと誓った。 ~燐の2 「初めてのプレゼント」~
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Gene20のおねーちゃん100人できるかな?推進部隊(ナニソレ) イブリン:犬型凛(電ホビ特製マジョーラ素体?) 装備:あの肉球ってぶっちゃけ犬のじゃないよねー にーの丞第二の姉こと(第一の姉はにゃーの助)TVドラマ『武装神姫2036』に主演してお茶の間の人気者になったタレント神姫さん。宣伝の都合で年中犬なのに猫っぽい耐水ペイント装備(笑)、そしてまおの姉っつ~事で猫度18ポイントと急上昇中 (爆) あ、ちなみに『武装神姫2036(電ホビで連載してるマンガね)』が2037年に放映してるかな~りノンフィクションTVドラマだって言うのは作者の「これなら電ホビ版の素体が売ってる理由になりつつマンガのキャラで二次創作できてしかもあくまで“かなり”ノンフィクションなのでぶっちゃけマンガ版と設定違ったりキャラ似なくってもごまかせるにゃ~」という悪知恵の賜物なのでよいこはマネしちゃいけません(核爆) なな子:種型ジュビジー 装備:姉の威厳と姉の優しさと姉の苦労(笑) 妹持ち(しかも人間!)でしかもオフィシャル小説とかの影響で今種子旋風が巻き起こってるからと久々出演な鉄板焼屋「ニラ玉」の看板神姫さん。そしてにーの丞第3の姉。そのせいか猫度も割高14ポイントもありますよ? あ、ホラきっとた「ねこ」だから・・イヤもしかして「ネコ」ってことで・・・え?ナニなな子さんちょっとコテなんて構えてまさか・・・ ギャー!?(残酷表現) にーの丞:猫型まお(電ホビ特製マジョーラ素体) 装備:おねーちゃんいっぱいですにー♪ 予告通り再登場の子猫ちゃん。猫度は当然ながらダントツ20ポイント(そりゃそーだ)ちょっと賢くなって漢字使えるようになりました。 おかーさん:29歳花道家 にーの丞第四の姉・・・ではなくおかーさん。ヘタレとデコ魔ちゃんの姉。生駒流花道の家本さん(夫は婿入り)。意外とイージーなその性格は妹似、心配性(てかビビリ)は弟似ですな。ところで彼女が今回活けた花の購入元はなんと花屋の花子さんのお店。フクジュソウって時点で気付いた貴方はすごいぜ(笑)ついでに猫度は平凡に3ポイントでした。そりゃそっか。 おまけ:やってみにゃさい! 猫度テスト!! 貴方の猫度(猫好き度じゃないよ)を診断するテストです。○×で答えてね 1.猫っ毛だにゃ 2.ねこじただにゃ 3.猫背だにゃ 4.猫なで声は得意にゃ 5.狭くて暗いトコって落ち着くにゃ 6.高いトコも好きにゃ 7.天井の隅とか気になるにゃ 8.霊感あるっぽいにゃ 9.コタツっ! コタツを出さない家は日本じゃないにゃ! 10.雨の日はだるだるにゃ~ 11.なんかこ~小さいのが周りでちょろちょろしてると意地でも捕まえたくなるにゃ 12.猫見るとこ~見詰め合っちゃうにゃ(睨みあう?) 13.いわし雲っていい響きにゃ~ 14.つい手で顔拭いちゃうにゃ 15.カーペットのお掃除は大変にゃ 16.お風呂はキラいにゃ 17.自分の髪の毛よく食べちゃうにゃ 18.オリーブオイルってそのままでも美味しいのですにゃ 19.春先辺りとか妙にムラムラするにゃ 20.やっぱり長生きはするもんですにゃ~ ○の数が・・・ 1~5:普通のヒトですにゃ 6~10:けっこーな猫好きですにゃ 11~15:猫にシンパシー感じちゃうお年頃(?)にゃ 16~19:1歩間違うと変質者にゃ。捕まるにゃ 20問全部:キサマ! さては猫又か猫型神姫にゃ!? 目次へ
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{ストラヴァル&ストレガの誕生だぜ} アンジェラスの視点 「…ムニャムニャ…ンゥ~?」 クレイドルで寝ていた私は目が覚めて、いつもの天井が見える。 部屋は薄暗く目を細めながら時計を見ると小さい針は三時をさしていた。 なんでこんな中途半端な時間に起きてしまったのか分からないけど、何故か起きてしまった。 ふとベットの方を見るとご主人様が寝ていなかった。 正確に言うと居なかった、というのが正しい。 ご主人様、何処に行ったのでしょうか? 私は起き上がり、窓の下を覗き込んでみる。 うん、ご主人様の愛車はあるっと。 外に出ている、というわけではなさそう。 家の中の何処かにいるはずです。 私は机から飛び降り、武装神姫用のドアを開けて一階に行った。 台所・お風呂・トイレ・リビングにも、ご主人様は居なかった。 やっぱり外に行ったのかぁ~? 玄関に行ってみてご主人様の靴があるか捜してみる。 「…靴はありますね。じゃあいったい何処に、あ!」 まだ行っていない場所がありました。 地下の部屋です。 そうと決まれば善は急げです! 私は走って地下に向かった。 …。 ……。 ………。 天薙の視点 「ヨッシャー!遂に完成したぞ!!試作型だけど…」 俺は小躍りしながら喜んでいた。 このアイテム開発に二月間は掛かったからなぁ。 眠気を振り払い作り上げたかいがあったというものだ。 「さて、と。作り終わった事だし、寝るとするか」 欠伸をしながら背筋を伸ばす。 景気に煙草に火をつけ一服する。 と、その時だ。 「あー!やっぱりここに居たー!!」 「なっ!?アンジェラス!?!?」 地上に通じる階段を下りて来たのはアンジェラスだった。 なんで起きてるんだ? オカシイなぁ、ちゃんと俺が確認した時は寝ていたのに。 まぁいいか。 「あっ!そうだ、丁度いい。お前、新しいアイテムを使ってみる気はあるか?」 「新しいアイテム?」 「そう。主にアンダーグラウンドで使うモノだな」 そう言いながら俺はアンジェラスを右手の平に乗らせる。 「そしてこいつ等がそのアイテムだ」 作業用の机に置かれている試作型戦闘機が二機。 一つは戦闘機らしい格好した軽装備の戦闘機。 もう一つの片方は武装神姫の部品で作られた重装備の戦闘機。 「アイテム補充偵察戦闘機、ストラヴァル。敵殲滅戦闘機、ストレガ。どっちも出来たばかりだが、それなりに使えるはずだ」 アンジェラスを作業用の机に下ろす。 するとアンジェラスはマジマジと二機の戦闘機を見る。 どの戦闘機も武装神姫より少し大きい。 歩きながら戦闘機にペタペタと触るアンジェラス。 「ねぇ、ご主人様。この大きさじゃ、座る場所がないじゃないですか」 「あぁん?誰が操縦席を作った、て言ったんだ?そんなモノはいらんねぇ~んだよ」 「じゃあどうやって操縦するのですか?」 「ここさ」 俺は左手の人差し指で自分の前頭葉を示した。 アンジェラスはこの意味が解らないのか、首を傾げて悩む。 しょうがない、説明してやるか。 「よーわだなぁ。戦闘機が搭乗してる神姫の脳波を感知し、その神姫が何処に行きたいかで戦闘機が動く。勿論、その神姫が戦闘機を自由自在に動かせる事もできる。脳波というより、電気信号を感知する感じだ」 「へぇ~、凄いですね。ご主人様って頭いいんですね」 「ん?それはちょっと違うかなぁ。ストラヴァルは姉貴の会社からデータをパクリ、改造したもので。ストレガに関してはストラヴァルとグラディウスをベースにし、武装神姫の部品で作ったものだ」 「…大丈夫ですか?会社の方から怒られちゃいますよ??」 「大丈夫。俺が作ったコンピュータウイルスは自分でも自負できるぐらいの出来さぁ。98%はバレねぇよ。それよりさぁ、まずはストラヴァルを試してみてよ。データも取りたいし」 「分かりました、ご主人様」 アンジェラスはストラヴァルの腹の部分の中に入る。 あ、ちょっと不服そうな顔をした。 「あの…ご主人様」 「なんだい?」 「あんまり居心地が…良くないのですけど」 まぁ、しょうがないだろうな。 下半身だけ固定して上半身だけはハダカの状態だからなぁ。 「ど~感じが悪い?」 「お腹を圧迫して痛いです。腰にも負担があって痛いです。常に顔を上げていないと前方が見えないので首が痛いです。それから」 「ストップ!…さっきから『痛い痛い』って、少しは我慢してくれよ~」 「だって、痛いだもん」 「だもんって…はぁ~、こりゃあストラヴァルは改善し直しかー。所詮、補充偵察戦闘機だからなぁ」 「もう出ていいですか?すでに首が痛いです」 「あぁ。すぐに降りていいぞ」 アンジェラスはストラヴァルを降りて右手で首を摩る。 そんなに痛かったのか? こんな調子だとストレガも駄目おしされそうだぜ。 でもストレガはリアパーツに似ているから多少は違うと思う。 …ストラヴァルより、かなり重いけど。 「それじゃあ今度はストレガを装着して」 「装着ですか?」 「こいつはヘビー級のリアパーツだと思ってくれ」 「はい。では装着しますね」 「おう」 「んっしょっと」 『んっしょっと』はないだろ。 女の子としてちょっとどーかと思うぞ。 「ウッ…ちょっと重いですね」 「ストレガは地上用の『足』がついてる。ちょっと操縦してみ」 「はい」 アンジェラスは目を閉じ、ストレガに『足』を出すように命令する。 すると機械音をだしながら二つの『足』が出でてきて、しっかりと地面に固定させる。 「フゥー、これでいくらかマシになりました」 「安定性は大丈夫みたいだな。居心地の方はどうだい?」 「悪くないです。ですが、両方に付いてるミサイルランチャーのトリガーに手を伸ばすのが少し辛いかもしれません」 あぁ~、それはあるかもしれない。 ノーマルのストレガはミサイルランチャーの改善っと。 ふむ、よし次だ。 「アンジェラス。次はEXストレガだ」 「EXですか?」 「あぁ、こいつにはEXというさらに改良した機体になることが出来るんだ」 「じゃあ、一回装着を外しますね」 「いや、そのままでいい。俺がパーツをつけるから」 俺はストレガのEXパーツを次々に取り付ける。 これで格段に重くなったが『足』があるおかげで大丈夫だろう。 そして最後にアンジェラスにホーンスナイパーライフルを二丁渡した。 「どうだ?」 「う~ん、かなり武装が強くなりましたけど。ちょっと不恰好じゃないですか、これでちゃんと飛べるんですか?」 「飛べないと意味がない。安心しろ、ちゃんと飛べる」 「でも、この戦闘機が撃墜された時はどうするんですか?」 「その時も大丈夫。ヤられた時はストレガの全パーツがバラバラに分解され、お前のリアパーツは自動的に装着されるように作ってあるから」 「ホントに大丈夫ですか?それでー」 「だから大丈夫だって」 少しは信用してくれよう。 これもお前等のために作ったんだぜ。 アンダーグラウンドのバトルはただでさせ危険が沢山あるからな。 「サンキュー、かなりデータを取れた。もう外していいぜ」 「はい」 アンジェラスはストレガの装着部分を外し、ホーンスナイパーライフルを置く。 うん、一応完成したものの…まだまだ、改善する必要性はまだありそうだ。 こいつはもう少し時間がいるな。 「あ、そうそう。EXの場合、神姫が装着していな状態だと、こんな感じだ」 白い槍と風除けのパーツをつけた。 これでちょっと戦闘機ぽく見えるだろう。 「でも、この飛び出してる白いやつを抜いてくれないと私の頭が…」 「おっといけねぇー。説明するのを忘れていたぜ、今の状態は独立状態だったんだ」 神姫が装着していな時は体当たり攻撃用の槍が装着されているんだった。 すっかり忘れてたぜ。 独立状態は主に神姫のバックアップ専門をする戦闘機になる。 「今日はこんなもんだ、壱階に行くぞ」 「はい、ご主人様」 俺は右手の手の平にアンジェラスを乗せて地下の部屋を出ようとした。 するとアンジェラスが口を開いてこう言った。 「なんで、あんな物を作ったのですか?」 「俺はお前やアイツ等を危険な目に合わせたくないだけだ」 「危険だなんて。大丈夫ですよ、ご主人様。私達は強いですから」 「…そうだな」 確かにアンジェラス達はノーマルの神姫よりは強いと思う。 でも『上には上がいる』という、ことわざがある。 実際、現実的にそいう奴等はいる。 これからのバトルに何が起きるか解らない。 だから今のうちにバックアップを用意しとかないといけない。 …出来れば、あの二機の戦闘機を使う日がこない事を祈るだけ。 そう思いながら俺は地下の部屋の電気を消して一階に戻った。